(前回から読む) 池上:最後に、今回の震災と東京電力福島原発事故から日本人である私たちが「学ぶべきこと」を考えます。 加藤先生には、日米戦争時の日本のトップマネジメントとリスクマネジメントの不在、そして大衆やメディアの「流されやすさ」をご教示いただきましたが、福島第一原子力発電所事故の背景と比較すると、敗戦時の日本と気持ち悪いほど似通った問題があることがはっきりしました。つまり、私たちはあの戦争からあまりに学んでいなかった――。 ジョン・ダワーの「役に立った戦争」から学ぶべきこと 加藤:『敗北を抱きしめて』でピュリツァー賞を受賞した、アメリカきっての日本近代史研究者のジョン・ダワーのいくつかの著作は池上さんならお読みでしょう。そのダワーに、「役に立った戦争」という、なかなか刺激的な題の論文があります。 書かれた年は1990年で、翌年、日本のバブルは崩壊しますが、書かれた時の感じでいえば、日