J1仙台は4月の渡辺晋監督就任後、降格圏から上昇気流に乗り、5勝3分け6敗(勝ち点18)の11位でワールドカップ(W杯)ブラジル大会の中断期間に入った。兄貴的で「ナベさん」と慕われる渡辺監督が、冷静かつ時には情熱的な指導でけん引している。復調の転換点となった5月6日の神戸戦を中心に40歳の青年監督の実像を探る。(金野正之、吉江圭介) ◇ 神戸に一方的に攻められて0-2。応援席の大ブーイングを浴びて戻った控室の雰囲気は沈みきっていた。「前節、最下位徳島に勝った流れに乗ろう」と送り出したばかり。渡辺監督はふがいなさと怒りを押し殺し、努めて冷静に語り始めた。 「誰一人として負けると思うな。逆転を信じれば必ずできるし、一人でも疑えばそうならない」 昭和の青春ドラマのようなせりふ。言い切る頃に熱を帯びていた。「このまま負けていいのか。悔しくないのか」という直球はのど元でとどめたが、顔は紅潮して