7月30日、龍谷大学の竹中正治教授は、新興国市場混乱の背景には1990年代後半のアジア通貨危機時と同じドル売りキャリートレードの巻き戻しがあると推測されるものの、各国は規制や予防策を強化しており、激発性の危機に転じる可能性は低いと指摘。提供写真(2013年 ロイター) 今年5月以降、それまで新興国に流入していたマネーフローが流出に転じ、これら諸国の株価も為替相場も下落に転じた。このことが世界経済の不安定化要因のひとつとして懸念されている。しかも、米連邦準備理事会(FRB)の量的金融緩和(QE)縮小見通しの表明がその原因になったという論評が多い。しかし、そうした理解は私には「原因」と「きっかけ」を混同しているように思える。 たとえば、本フォーラムでも散見される一般的解説に、5月のバーナンキFRB議長によるQE縮小見通し表明が相場調整の引き金を引き、一部新興国の株価と通貨下落をもたらしたという