【カイロ=大内清】ロイター通信などによると、シリア内戦の激戦地である中部ホムスで2日、アサド政権側と地元反体制派部隊との停戦合意が成立し、同日正午ごろ戦闘行為が停止した。反体制派の戦闘員は近く、拠点である旧市街から撤退する見通しで、これにより政権側はホムスのほぼ全域を奪還することになる。 反体制派が、2011年にシリアで騒乱が広がった当初から拠点としてきたホムスを“降伏”ともいえる形で放棄すると決めたことは、6月3日に行われる大統領選を前に政権側の優勢を国内外に強く印象付けるものとみられる。政権側は北部アレッポなどでも戦況を有利に進めているだけに、反体制派の武力鎮圧へ自信を深めそうだ。 ホムス旧市街は約2年間、政権側の包囲下にあった。 食料品や医薬品の不足が深刻化したことから、今年2月には、政権と国連の合意に基づいて女性や子供ら数百人の避難や人道支援物資の搬入が行われたが、戦闘員である男性
政府が「女性の活用」に向け、夫の所得税などを軽減する配偶者控除の見直しに入った。だが、この控除を廃止・圧縮すれば女性の活用が進む、とみるのは早計ではないだろうか。 現状では働きたくても働けない女性が少なくない。まずは保育所の待機児童の解消や長時間労働を是正し、女性が働きやすい環境を整備することが求められる。女性活用は多角的な視点で取り組む必要がある。 安倍晋三首相は成長戦略の改定に向け「女性の就労拡大を抑制する税・社会保障制度の見直し」を指示した。労働人口が減る中で、女性が活躍する場を広げ、経済の活性化につなげる狙いがある。これを受けて政府税制調査会が配偶者控除の見直し論議を始めた。 年収103万円以下の妻は、本人に所得税はかからず、その夫の課税所得も年38万円差し引く配偶者控除が認められている。パートなどで働く多くの主婦は、この「103万円の壁」を超えないように就業時間を調整している。
4月、沖縄本島の西にある久米島の北方海域。船からワイヤでつるされた物体が海中に投下された。 「排他的経済水域内で同意のない調査活動は認められない」 海上保安庁の巡視船は再三、調査活動の中止を求めた。しかし、中国の海洋調査船「科学号」は不当な調査を続けた。調査期間は半月に及んだ。 自衛隊幹部は調査目的を「潜水艦の航行に備えたデータ収集だ」と語る。海底地形や潮流などのデータを集め、音の伝わり方を分析しておくことは潜水艦を進出させる上で不可欠だ。 20年ほど前から中国海洋調査船は先島諸島周辺で活動を始めた。その後何が起きたか。平成16年に宮古・石垣両島の間を中国潜水艦が潜ったまま領海侵入し、駆逐艦は先島周辺から太平洋へ抜けるようになった。 防衛省幹部は「海洋調査船が来れば潜水艦、駆逐艦の航行も時間の問題だ」と指摘する。それが沖縄本島周辺でも起きようとしていることを調査船の活動は暗示している。次に
東京大学と医療ベンチャーの「ネクスト21」(東京都文京区)が共同で、移植用の「人工骨」の量産技術を開発したことが3日、分かった。樹脂やプラスチック加工に使う射出成形機を活用し、1日数千本の人工骨が作れるという。原料を焼き固めて作る従来の人工骨と異なり、移植後に患者の骨と同化しやすい人工骨を大量に生産する技術は世界で初めて。年内にも国内で臨床試験を始め、2~3年後の実用化を目指す。 実用化すれば、さまざまな種類やサイズの骨を備蓄し、事故などによる緊急な骨移植手術に対応する「人工骨バンク」の設立にもつながると期待される。 同社と東大大学院工学系研究科の鄭雄一(てい・ゆういち)教授(バイオエンジニアリング専攻)の研究チームは、骨の主成分のリン酸カルシウムを100~200度に加熱して流動化し、射出成形機で金型に流し込む量産手法を開発した。上腕骨や大腿(だいたい)骨、脊椎など部位ごとに大きさの異なる
その事実を知ったのは、関西にある大学内で開かれたシンポジウムでのことだった。朝鮮半島の日本統治時代に、戦時徴用された韓国人らが日本企業を相手取って起こしている個人補償訴訟を支援する立場からの議論の場だった。意見が全く異なる者として「どのような論理なのか?」を傍聴した。 会場で配布された資料に目がとまった。「日本国憲法の平和主義への言及 2013年7月10日ソウル高裁判決」。新日鉄住金を相手取り元徴用工の韓国人4人が個人補償を求めた訴訟の差し戻し審で、ソウル高裁が同社に賠償金1億ウォン(約880万円)ずつの支払いを命じた判決文の内容だった。韓国での戦後補償をめぐる裁判で日本企業に賠償の支払いを命じた初めての判決だった。 その判決の中で「日本国憲法に言及」とはどういうことなのか。弊社ソウル支局に依頼して確認できた。なんと、日本国憲法9条と前文の一部を判決文で引用し、賠償の根拠としていたのだ。
【ワシントン=青木伸行】ヘーゲル米国防長官は2日、北大西洋条約機構(NATO)に関するワシントンでの講演で「ロシアのウクライナにおける行動がNATO創設の目的(集団防衛)を想起させた。長期的にロシアはわれわれの同盟の目的、持久力、関与を試すと予想される」と、ロシアに対する脅威認識を明確に表明した。 これを背景に「NATOの任務の均衡化を図り、能力を活性化しなければならない」と指摘。「軍事力、抑止力、戦力展開、特殊作戦、迅速な対応能力が要求される」と力説した。 さらに、「東西冷戦の初期から、米国は欧州の同盟国に軍事費の支出を増やすよう求めてきたが、冷戦は終わったという意識が増加の大きな障害のひとつだった」と指摘。そのうえで、「ロシアの行動は神話を打ち砕き、新たな現実の到来を告げた」と語り、同盟国に負担増を求めた。
安倍晋三首相は30日の日独首脳会談で、ウクライナ情勢に関連してアジア地域で海洋進出を強める中国の脅威をアピールした。ドイツのメルケル首相は中国と3年前から定期的な政府間協議をスタートさせるなど関係強化を進めており、安倍首相は今回のドイツ訪問を手がかりにした巻き返しを狙った。 安倍首相は首脳会談の冒頭、サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」のユニホームをメルケル首相に贈呈した。ユニホームの背にはアルファベットで「MERKEL」。大の女子サッカーファンのメルケル首相は「うれしい」と笑顔で応じた。 安倍首相がメルケル首相の歓心を得ようとするのも好調なドイツ経済をアベノミクスの「3本目の矢」の成長戦略に取り込みたいとの思惑がある。 しかし、ドイツで存在感を示しているのは中国だ。ドイツにとって中国は欧州連合(EU)域外で最大の貿易相手国。メルケル首相は2005年の就任以来、何度も訪中した。中国から
東京商工リサーチによると、これまでに消費税増税の影響による倒産が確認されているのは、新潟市のスーパー1社のみ。ただ、増税の負担は中小・零細企業にずしりとのしかかっており、「今後は倒産や廃業を余儀なくされる企業が増える可能性がある」という。 消費税増税に伴う倒産が確認されたのは、新潟市のスーパー「河治屋(かわじや)」。同市内に2店舗を展開していたが、他店との競合、電気料金の値上げによる経営悪化に消費税増税が追い打ちをかけた。税率変更に対応可能な新型レジへの買い替えができないとして、今年3月、新潟地裁に破産を申し立てたという。 一方、小規模事業者が加盟する全国商工団体連合会(全商連)付属・中小商工業研究所が2~3月に実施した調査では、消費税5%が段階でも価格に転嫁ができていない業者が約5割を占めた。消費税が10%になった場合「廃業を考えざるを得ない」との回答は8・7%に上った。 全商連は「増税
小保方晴子氏が14日に公表した文書の内容をめぐり、「どの段階でSTAP細胞の作製に成功したと判断するのか」という点について、小保方氏と周囲の認識のズレが表面化している。 小保方氏は説明文書で、マウスから取り出した細胞に酸などでストレスを与えた細胞に、万能性を持つ細胞特有の遺伝子が現れたことを示すマーカー(指標)が「陽性」を示したことで「STAP細胞ができたことを確認した」と表現した。 小保方氏は1月末の最初の記者会見で、「STAP細胞からキメラマウス(胚にSTAP細胞を入れて作ったマウス)を作製した」「神経や筋肉などの細胞に分化する能力があることを確認した」と発表したが、これまでキメラマウスの作製まで再現した報告はない。 理研は2人の研究者が、マーカーの陽性を確認したとしているが、再現されたのは論文の“前半部分”だけで「完全な再現とはいえない」とのスタンスだ。 小保方氏の言う「多能性マーカ
かんだり飲み込んだりする機能が低下した高齢者に配慮した介護食品の在宅向け市場が広がっている。「やわらか食」などとも呼ばれ、病院や介護施設で利用されていたが、平成24年の介護保険制度改正で施設入所から在宅介護への流れが促されたのを契機に、市販に注力する企業が増加。食べやすさや栄養面の配慮にとどまらず、おいしさや見た目を重視した商品が続々登場している。 ◆スーパーなどで販売 介護食品市場の拡大に対応し、乳業大手の森永乳業(東京都港区)は介護食「やわらか亭」シリーズの取り扱いを昨年4月から開始。在宅高齢者向けに、ドラッグストアやスーパーでの販売を強化している。担当者は「以前はグループ会社のクリニコが医療機関や介護施設向けに販売していたが、高齢者が在宅に戻ったときに手に入りやすくした」と説明する。 商品はカップ入りご飯とレトルトのソースがセットとなった「カレーごはん」など。今月発売の新商品「そぼろ
国際協力機構(JICA)が、技術支援を受けた相手国が資金を負担する「コストシェア技術協力」と呼ぶ新たな経済協力について、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国と、クウェートの政府機関とそれぞれ協力協定を結んだことが14日、分かった。ごみ発電や水処理、医療、省エネルギー、環境技術など日本が技術優位にあるインフラ輸出の売り込みにつなげ、中東諸国との経済外交を強化する。 日本政府はこれまで発展途上国などに対し、主に政府開発援助(ODA)を活用して無償で技術支援をしてきた。ただ、産油国の中東諸国などは経済成長により援助対象国から外れつつある。 その一方で、こうした国々の産業振興や人材育成への支援ニーズは高く、安倍晋三首相は昨年5月のサウジアラビア訪問時に相手国が資金を負担するコストシェア技術協力の拡大を今後の2国間経済協力の新機軸に打ち出した。 具体的には人材育成に加え、再生可能エネルギー導入
反捕鯨団体「シー・シェパード」のドキュメンタリー番組を撮影したオーストラリア人の映像ジャーナリストが、和歌山県太地町の捕鯨とその歴史に魅せられ、文化を世界に伝えようと活動している。母国や欧米で反捕鯨の世論が高まるなか、「江戸時代から連綿と続く太地の捕鯨の歴史を伝えれば、世界の認識は変わるはず」と訴えている。 和歌山大学の特任助教、サイモン・ワーン氏(57)=和歌山市在住。オーストラリアの民間テレビ局のカメラマンを経て、フリーランスでタスマニアの環境問題などを伝えてきた。 平成19~20年にかけて、アメリカの人気番組「ホエール・ウォーズ(鯨戦争)」の撮影に参加。南極海で、日本の調査捕鯨船を妨害するシー・シェパードを5週間取材した。
反捕鯨団体「シー・シェパード」のドキュメンタリー番組を撮影したオーストラリア人の映像ジャーナリストが、和歌山県太地町(たいじちょう)の捕鯨とその歴史に魅せられ、文化を世界に伝えようと活動している。母国や欧米で反捕鯨の世論が高まる中、「江戸時代から連綿と続く太地の捕鯨の歴史を伝えれば、世界の認識は変わるはず」と訴えている。 和歌山大学の特任助教、サイモン・ワーン氏(57)。オーストラリアの民間テレビ局のカメラマンを経て、フリーランスでタスマニアの環境問題などを伝えてきた。 平成19、20年にかけて、アメリカの人気番組「ホエール・ウォーズ(鯨戦争)」の撮影に参加。南極海で、日本の調査捕鯨船を妨害するシー・シェパードを5週間取材した。 取材の間にメンバーが捕鯨船に乗り込み拘束される事件が発生。引き渡されたメンバーに話を聞くと、捕鯨船の日本人船員は妨害工作をしかけたメンバーの話にも耳を傾け、環境問
国の是正要求に従わず法改正の趣旨も歪(ゆが)めるのか。教科書採択で沖縄県竹富町教育委員会が、石垣市などとの共同採択から離脱を検討している。これを認めるべきではない。是正要求に従い、勝手な教科書使用をやめることが先だ。 小規模な市町村は、近隣市町村と共同で教科書を選ぶルールが、義務教育の教科書を配布するための教科書無償措置法で定められている。 生活、文化など一体性のある広域で同じ教科書を使えば効率的な配布のほか、教師の共同研究や転校した場合に学習の連携などメリットが大きいからだ。 竹富町の場合、石垣市、与那国町の3市町で八重山採択地区協議会をつくり採択してきた。平成23年夏の採択で協議会は、中学公民教科書に育鵬社版を決めた。 だが竹富町は従わず東京書籍版の使用を24年度から始めた。地方自治法で最も強い措置の是正要求が出されたが、今年度も違法状態の教科書使用を強行している。 竹富町の共同採択離
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く