ブックマーク / honz.jp (255)

  • 『黒海の歴史 ユーラシア地政学の要諦における文明世界』 - HONZ

    「地中海世界」や「環太平洋諸国」と聞けば誰しもそれなりのイメージが浮かぶだろう。ところが世界政治のフォーカルポイントであるにも関わらず「黒海」はそうではない。12カ国から成る黒海経済協力機構(BSEC)を知っている人がどれだけいるだろう。書は知られざる黒海の歴史を概説した力作である。 黒海という呼び名が定着したのはオスマン朝の初期。黒海には欧州で2番目から4番目に大きい川(ドナウ、ドニエプル、ドン。最大はヴォルガ)が注いでいるが昔の黒海は湖だった。7500年ほど前、地中海の海水が流れ込み黒海は海となった。原黒海周辺の居住地は根こそぎ水没しシュメールの洪水伝説の由来となった可能性がある。黒海の海水の90%は無酸素状態であり、古代の船がほぼそのままの形で発見されている。 黒海沿岸でもっとも早く記録された種族、キンメリア人はクリミア半島にその名を残した。黒海に最初に乗り出したのはアルゴー船の伝

    『黒海の歴史 ユーラシア地政学の要諦における文明世界』 - HONZ
    taron
    taron 2017/09/14
    中世の商業史的には、重要な地域なんだけどね。
  • 『われらの子ども 米国における機会格差の拡大』 - HONZ

    わが国ではシングルマザーの家庭を中心として、子どもの実に6人に1人が貧困に喘いでいる、といわれている。このまま放置すると、社会的損失は40兆円に達するとの試算もある(「子供の貧困が日を滅ぼす」文春新書)。書は、アメリカにおける子どもの貧困と格差の固定という社会的危機の現実を赤裸々に描き出した力作である。 まず、著者のふるさとの街が登場する。オハイオ州ポートクリントン。50年代は居住地域や学校における階級分離は低く、街の人はみなを「われらの子ども」と考えていた。社会経済的なはしごを登る機会は豊富だった。それが5人の級友の人生として語られる。「1950年代のポートクリントンにおいては、つましい階級の出身であることは、その才能と勤労観を活かして高く上方へと移動していくことを妨げるものではなかった」。 現代では、ジェンダーと人種における格差は軽くなっているが、生まれついての階級格差がはるかに大

    『われらの子ども 米国における機会格差の拡大』 - HONZ
    taron
    taron 2017/09/14
    停滞の時代には、こういう問題が顕在化するのだろうけど。つーか、アメリカは特にひどいのだろうけど、日本も似たようなものだよなあ。幼児教育と人脈か。
  • 『ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA』 SFを現実に変換する科学集団 - HONZ

    1962年10月16日、ソ連が密かに核ミサイルをキューバに設置していることを発見したアメリカ大統領ケネディは、ソ連首相フルシチョフにミサイルの撤去を迫り、拒否された。この日からフルシチョフがミサイル撤去の決断を下すまでの13日間ほどに、人類が核兵器による全面戦争に近づいたことはない。キューバ危機で核ミサイルが攻撃に用いられることはなかったが、実はこの危機の最中に核ミサイルは4発も爆発していた。その事実が世間に知られることがなかったのは、この爆発が宇宙空間で行われていたからだ。 4発中2発はアメリカによって、残りの2発はソ連によって行われた実験だった。わざわざ宇宙空間で核爆発させたのは、クリストフィロス効果を研究するため。1957年にソ連が打ち上げた人工衛星によるスプートニク・ショック以来、アメリカはソ連のICBM(大陸間弾道ミサイル)から自国を守る方法を探し続けていた。そして、無名の科学者

    『ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA』 SFを現実に変換する科学集団 - HONZ
    taron
    taron 2017/09/14
    怪しい仮説に金を突っ込めるのが、アメリカの強みだなあ。もっとも、泥臭くやらないのが、アメリカ軍の弱点のような気がするが。中東を見るに。
  • 『おどろきの金沢 』伝統工芸と現代アートの狭間で - HONZ

    書を読んで、金沢21世紀美術館について長年抱いてきた素朴な疑問が氷解すると同時に、過去10年間にわたり、金沢という場を巡って、伝統工芸と現代アートの世界で稀に見る革新的なことが行われてきたのだというのを初めて知った。 これまでずっと疑問に思っていたのは、「なぜ金沢21世紀美術館が作られたのか?」「金沢の伝統工芸と現代アートの関係はどうなっているのか?」ということである。 考えてみれば、金沢というのは不思議な街である。人口は46万人に過ぎないが、古くから観光都市として栄えており、特に北陸新幹線が開業した2015年3月から8月までの観光客数は、兼六園で前年比142%の167万人、ひがし茶屋街で187%の130万人を記録した。1年間の金沢市全体の観光客数は800万人を超えており、その勢いは今なお止まることを知らない。 そうした中で、2004年に開館した金沢21世紀美術館も、来館者数が同年10月

    『おどろきの金沢 』伝統工芸と現代アートの狭間で - HONZ
    taron
    taron 2017/09/13
  • 『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』嵐のような天才気象学者の生涯を追う - HONZ

    とにかく私の人生は面白い。安定とは無縁だった 気象学者、藤田・テッド(セオドア)・哲也は、自身の歩みを回顧して、そう語った。書は、彼の生涯をつぶさに書きとめた評伝であるが、この引用の言葉どおり、とんでもなく面白い。なにせ、気象学者ながら、ひじょうに多彩な顔を持ち、絶えず変化する気象現象のように数奇な道のりをたどってきたのだから。 最初に略歴を書いておこう。1920年、福岡県に生まれた藤田は、明治専門学校(現在の九州工業大学)を卒業後、助教授に就任。1953年に渡米し、以後シカゴ大学にて40年以上にわたり局地的な気象現象について研究を重ねる。その後、竜巻の強さを示す階級表「F(フジタ)スケール」の提唱や、飛行機の墜落事故を引き起こす積乱雲からの下降噴流(ダウンバースト)の研究といった業績により、気象学史にその名を残す。1998年に他界。 このように輝かしい経歴を持ち、さらにはフジタテツヤと

    『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』嵐のような天才気象学者の生涯を追う - HONZ
    taron
    taron 2017/09/13
    なかなか、パワフルかつエキセントリックな人物ではあったようだ。ダウンバースト研究をめぐる艱難辛苦。
  • 『性表現規制の文化史』えっちがいけないことなのは何故か - HONZ

    書、表紙が素敵なのだ。 裸の成人女性からうまい具合に乳首を隠したイラスト、線画の描写ゆえ生々しさはなく90年代に流行ったオシャレ系マンガの表紙のようである。 とは言えハダカはハダカ、サラリーマンばかりの通勤電車で読むのは平気だった私もさすがに目の前に小学生男子が立っている中では書の続きを読むのをためらった。 こんな風に感じるのは何も私だけではないだろう。そもそもたとえ乳首が隠されていたとしても裸の成人女性が描かれた表紙を人前で出すこと自体やりたくないという人も多いはずだ。(うん、屋さんでカバーかけて貰えるのってとっても大事かも)。 この「通勤電車ならいいや」と「でも小学生男子には刺激が…」の線引きをしている私の気持ちは一体どこから生じているのだろうか。 えっちなのは、いけません! 我々(少なくとも私は)はそう刷り込まれている。だから、公共の場でえっちなイラストの表紙のを出すのがため

    『性表現規制の文化史』えっちがいけないことなのは何故か - HONZ
  • 『予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか』 医者と医療にまつわる不完全と不可解と不確実 - HONZ

    医者はどうしてミスから逃れられないのか。医療には未知や不確実なことがどれほどあって、医者や患者はそれらにどう対処したらよいのか。書は、そんな問題をテーマとした、アトゥール・ガワンデのデビュー作である。 ガワンデは、現役の外科医であると同時に、雑誌『ニューヨーカー』にも寄稿する文筆家である。その最新作『死すべき定め――死にゆく人に何ができるか』が大ヒットしたことは、まだ記憶に新しいだろう。2014年に発売された同書は、当初から一般読者の圧倒的な支持を得て、アメリカではすでに90万部のセールスを記録しているという。 『死すべき定め』は、「死をどう迎え入れるか」というテーマに対して、円熟した文章で迫ったものである。他方、研修医時代に書かれた書は、先のテーマを若く瑞々しい筆致で掘り起こしている。そのようにふたつのには、その年齢でしか書けない魅力(そしてガワンデにしか書けない魅力)がそれぞれに

    『予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか』 医者と医療にまつわる不完全と不可解と不確実 - HONZ
    taron
    taron 2017/09/12
    やっぱ、失敗してるんか・・・/他人事として考えると当然だけど、自分の体で練習はされたくないなあw
  • 『ブラック・フラッグス 「イスラム国」台頭の軌跡』ザルカウィと群像 - HONZ

    アフマド・ファディル・アル=ハライレー。それが書の主人公の名前である。だが名よりもこちらの名前のほうで世間には知られている。その名はアブー・ムサブ・アッ=ザルカウィ。イラクのアル=カーイダ(AQI)の創設者である。イラク戦争のさなか、米軍の占領政策の弱点を巧みにつき、イラク全土で武装反乱の炎を燃え広がらせたテロリストである。 家のアル=カーイダとは違い、現実的目標としてカリフ制国家の実現を目指し、欧米列強がアラブに引いた国境線を越える帝国の実現を掲げたこの男の思考は、同組織の3代目のリーダーであるアルー・バクル・アル=バクダディによりイスラム国という形で現在に受け継がれている 書はこの悪名高きザルカウィを軸にひとつのテロ組織がいかにして軍隊を持ち、国家としての体裁を持つまでにいたったかをジャーナリスト、ジョビー・ウォリックが丹念に取材したルポタージュである。 ちなみに作は2016

    『ブラック・フラッグス 「イスラム国」台頭の軌跡』ザルカウィと群像 - HONZ
    taron
    taron 2017/09/08
    アメリカって、中東方面ではとことん無能だよなあ。無責任にカオスを生み出した。/そもそも、フセイン政権をつぶしたのが失敗だったわけか・・
  • ドキュメンタリ映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』を更に詳しく - HONZ

    2017年8月28日、反捕鯨団体のシー・シェパードは今年の捕鯨シーズンは日の南極調査捕鯨船の妨害を行わないと発表した。日の監視技術に太刀打ちできないのが中止の理由だという。まるで書の発売と映画の封切りを見計らったような時期の発表だ。だがこの問題は解決したわけではない。 書は9月9日から全国で順次公開されるドキュメンタリ映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』の完全書籍化である。 きっかけは2009年8月、『ザ・コーヴ(原題:The Cove)』というドキュメンタリー映画がニューヨークのソーホー地区の映画館で公開されたことだ。和歌山県太地町のイルカ漁を追った作品で、アメリカのインディペンデント映画の賞としては最大のサンダンス映画祭のドキュメンタリー部門で読者賞を受賞。2009年夏に全米で劇場公開が始まると大反響を呼び、その年のアカデミー賞を受賞した。 日の紀伊半島近くに位置する小さ

    ドキュメンタリ映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』を更に詳しく - HONZ
    taron
    taron 2017/09/06
    九州には上映館がゼロという…/シーシェパードネタは、気分が暗くなりそうだがなあ。
  • 『大学病院の奈落』変われない病院の体質が、惨劇を生み出した - HONZ

    森友学園と加計学園をめぐる問題に揺れた今年の通常国会で、ある重要法案が可決・成立したことはあまり知られていない。特定機能病院の安全管理を強化する改正医療法である。大学病院のような高度医療を担う病院は、医療安全対策も高水準でなければならないという方針が、法律として明文化されたのだ。 改正のきっかけとなったのは、読売新聞のスクープ記事だった。 <腹腔鏡手術後8人死亡 高難度の肝切除 同一医師が執刀 群馬大病院> 2014年11月14日最終版一面の見出しは衝撃的だった。 北関東屈指の医療拠点として知られる群馬大学病院で、2011年から2014年に腹腔鏡を使った高難度の肝臓手術を受けた患者100人のうち、少なくとも8人が死亡していることが判明したというのだ。記事は、8人を執刀したのはいずれも第二外科の同じ医師で、これらの手術は事前に病院の倫理審査を受ける必要があったにもかかわらず、申請されていなか

    『大学病院の奈落』変われない病院の体質が、惨劇を生み出した - HONZ
    taron
    taron 2017/09/06
    下手糞が、次々と失敗して、8人殺したってのも、とんでもない話で。まあ、基本、大学病院って信用していないけど。/つーか、医学部って、最近、腐敗している系のニュースしか見ないような。
  • 明治神宮と『変形菌』 - HONZ

    変形菌、それは粘菌のことだ。粘菌、それは南方熊楠が愛し、昭和天皇が新種をいくつも発見され、2度もイグ・ノーベル賞に貢献した生物だ。「梅雨時のじめっとした林、あるいは真夏の暑い公園で、粘り気があって色あざやかなアメーバ状のものが倒木や切り株に広がっている」、そのアメーバ状のものこそ、そいつだ。植物でも動物でもキノコでもない単細胞生物。なのに、色も形も、多様で興味が尽きないのだ。 さっそく、この写真から始めよう。 この写真に出会って驚いた。 ちなみに、胞子とは、無性生殖のために植物が持つ生殖細胞のことだ。人間の目には見えていないだけで、ここまで躍動するものなのだ。 写真は『生命の森 明治神宮』(伊藤弥寿彦著、佐藤岳彦写真)というで見たもの。 明治神宮が創建から100年経ち、大きな自然調査を行なった際の一枚だ。そもそも明治神宮は、明治天皇が崩御された際に追慕する人の請願運動によって政府が神宮建

    明治神宮と『変形菌』 - HONZ
    taron
    taron 2017/09/04
    美麗写真が多数。/カラスがワシ類の巣を襲撃する映像は「ダーウィンが来た」なんかでも見るが、ディフェンスが必要なくなったら、タカのほうが強いのな。
  • 『健康格差 不平等な世界への挑戦』 Fair society, healthy lives. - HONZ

    スコットランドのグラスゴーの話。その市のなかの、たった数キロしか離れていないふたつの地区は、驚くべき対照を見せている。一方のレンジーは高級住宅街であるのに対して、他方のカルトンは指折りの貧困地区。ただし、両地区の違いはそれだけではない。1998年から2002年の数字で、レンジーの男性の平均寿命は82歳であったのに対して、カルトンのそれは54歳であった。その差はなんと28年である。 アメリカの話。ワシントンD.C.で地下鉄に乗って、中心街の南東部からメリーランド州のモンゴメリーへ向かうと、1マイル移動するごとに平均寿命が1年半ずつ延びるという。出発地点と到着地点では最終的に20年もの開きがあるという計算だ。 世界の話。子どもが日や北欧の国で生まれれば、だいたい80歳まで生きられるだろうと期待できる。しかし、サハラ以南のアフリカの国で生まれれば、60歳まで生きることすら難しいかもしれない。

    『健康格差 不平等な世界への挑戦』 Fair society, healthy lives. - HONZ
    taron
    taron 2017/09/01
    社会の不公正が、健康格差を生み出している。自由競争経済死すべし。/公衆衛生分野だと、キューバは評価高いな。
  • 『科学捜査ケースファイル 難事件はいかにして解決されたか』凶悪犯罪と法科学の歴史200年 - HONZ

    科学捜査は、多くのミステリードラマや推理小説の題材として扱われてきた。代表的なのは、アメリカ発のテレビドラマ『CSI:科学捜査班』や『BONES─骨は語る─』シリーズだ。日でも『科捜研の女』が安定した人気を誇っている。推理小説は枚挙に暇がないが、アーサー・コナン・ドイルが1887年に発表した探偵シャーロック・ホームズ初登場作『緋色の研究』で、ホームズが行う綿密な現場検証や、「葉巻の灰による銘柄の同定」「血痕の試験」の話は、現在の科学捜査の原点といっても過言ではない。 このように馴染み深い捜査手法であるが、現実とフィクションが違うのもまた事実である。実際のところ、科学捜査官たちはあの非常線の向こう側で何をしているのか? そんな素朴な興味から、英国を代表する犯罪小説家である一方で、真実への欲求も強い著者は、一流の法科学者たちに話を聞く旅に出た。浮かび上がってきたのは、身の毛もよだつ凶悪犯罪に

    『科学捜査ケースファイル 難事件はいかにして解決されたか』凶悪犯罪と法科学の歴史200年 - HONZ
    taron
    taron 2017/09/01
    科学捜査による分析能力の現状。/それでも、ヒューマンエラーとか、思い込みとか、科学捜査官自身の悪意で、冤罪は絶えないと。
  • 『地球進化 46億年の物語』 生物と鉱物の共進化 - HONZ

    ヒトはどこから来て、どこへ行くのか。いつの時代も人を惹きつけ、現代でも問われ続けている問いである。ダーウィンの『種の起源』をきっかけに、生命の進化にはより一層の関心が払われ、科学の発展とともに多くのことが明らかにされてきた。 それでは、生命を生み出した地球は、そして地球を構成する鉱物は、どのように進化してきたのか。これは、これまで十分に注意を払われてこなかった問いである。鉱物学を専門とする著者も、研究生活最初の20年間で実に多くの鉱物を分析していながら、その標がどんな年代にどのように作られたかを気に留めていなかったという。地球の歴史46億年はあまりに長く、人類は誕生してからせいぜい数百万年しか経っていないのだから、つい地球や鉱物を不変のものと考えてしまうのも無理はない。 しかし、書が描き出す46億年の軌跡は、ダイナミックな変化に富んだ物語だ。地球、鉱物はその姿を生物に負けないほどに変化

    『地球進化 46億年の物語』 生物と鉱物の共進化 - HONZ
    taron
    taron 2017/08/31
    へえ。生物による地球環境の改変が、新たな鉱物を生み出したと。地球環境の進化にともなって、生物も鉱物も変化していく。
  • 『滅亡へのカウントダウン』 - 人口バランスのイノベーションを求めて - HONZ

    新年早々、なかなか刺激的なタイトルだが、陰謀論めいた話でもなければ、悲観論のみに終始した内容でもない。 新しい年を迎えると、人は「おめでとう」と言う。友人や知人に赤ちゃんが誕生しても「おめでとう」と言うだろう。だが、そんな身の回りの「おめでとう」の集積が、社会や世界全体で見た時にも、当に「おめでたい」状況になっているのか。そこには、直視しなければならない現実がある。 ホモ・サピエンスが初めて姿を表してから、人口が10億人に到達するまでにかかった時間は20万年。その後のわずか200年余りで人口は約70億人までに膨らんだ。そしてその勢いは留まるところを知らない。もしも人類がこのまま軌道修正をしなければ、2100年の人口は100億人以上になるのではないかという予測もあるほどだ。 その数値を目にした時、誰しもが頭に浮かべるのは次の問いかけだろう。はたして地球は、人口の総数を収容できるのだろうか?

    『滅亡へのカウントダウン』 - 人口バランスのイノベーションを求めて - HONZ
    taron
    taron 2017/08/31
    ユダヤ教の子沢山がエグい。一方、イスラム圏でも産児制限に成功しているイランの対照。文化的な背景が大きい。女性への教育と自己決定権大事。/日本も最先端のテストケースと。まあ、無残な姿を見せそうだけど。
  • 『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ

    先日、新潮ドキュメント賞が発表され、ブレイディみかこさんの『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)の受賞が決定した。この作品を高く評価するのが、文藝春秋で数々の名ノンフィクション作品を送りだしてきた下山 進さん。作の魅力がどういうところにあるのか、特別に寄稿いただいた。(HONZ編集部) 新潮ドキュメント賞を受賞したブレイディみかこ 『子どもたちの階級闘争』を読んだ。素晴らしかった。 300ページで定価2592円って、どれだけ部数を絞ってるんだ? と最初腹立たしく思ったが、読んでみて、このクオリティだったらまったく惜しくない。 1996年にクールな英国に憧れて渡英した筆者は保育士だ。 託児所の日常が描かれるのだが、ここで凄いのは、その日常を子どもたちやその母親、そして保育士たちの世界のドラマで読ませつつ、英国の政治そのもの、のみならず世界のあちこちで起

    『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ
    taron
    taron 2017/08/27
    移民の方が、労働力として役立つという判断なのかね。日本でも同じだが、経済界の考えることは。/移民と下層白人の反目。まあ、ヘイトクライムをおこす側だから、移民が警戒するのも分かるが。
  • 『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』 - HONZ

    2016年の米大統領選挙を契機に、日でも米国の「白人労働者」の存在が注目されるようになった。彼らこそは、当初、異端の泡末候補だった不動産王ドナルド・トランプの大躍進を支えた原動力であり、同氏のコアな支持層と目されたからである。 「白人労働者」は米国では「プア・ホワイト(貧しい白人)」「ホワイト・トラッシュ(白人のゴミ)、「レッドネック(野外労働者)」「ヒルビリー(田舎者)」といった蔑称と共に語られることも少なくない。日からの駐在員や留学生、観光客にとっては接点の乏しい米国人と言って良いだろう。 そして、実は、それは米国のエリート層にとっても同じだ。格差社会が拡大するなか、大企業、先端企業、メディア、大学、シンクタンクなどで働く高学歴・高収入の米国人にとって、同僚や友人として彼らと交わる機会はほとんどない。それゆえ、中西部のラストベルト(錆び

    『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』 - HONZ
    taron
    taron 2017/08/26
    何十年も製造業をアウトソーシングしてきた国で、「労働者階級」を何とかできるのかな。正直、アメリカの白人労働者階級って、労働力として質は低いイメージなのだが・・・
  • 『モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る』 - HONZ

    人類のグローバリゼーションは海の道と草原の道を結んだクビライ治下のモンゴル世界帝国で最初のピークを迎えた、と一般には考えられているが、モンゴル帝国の創始者・チンギス・カンについては意外とその治績が知られていない。書は、長年モンゴルで発掘を続けてきた考古学者が描く等身大のチンギス像である。 遊牧民は放浪するのではなく、ある程度決まった場所を1年かけて季節移動する。「千戸制」を基とする人々の集まりをモンゴル語ではウルスと呼ぶが、ウルスは季節移動する固有の領域を持っていた。人と土地のウルスを結ぶのがジャムチ(駅伝制)だ。これがモンゴルの国制の基的な仕組みである。そして、ジャムチ制を巧く機能させるためには、治安が保たれていることが前提となるのだ。 著者が発掘したアウラガ遺跡は、今日ではチンギスの都跡(ヘルレン大オルド)であったことがほぼ確実視されているが、宮殿は思いのほか小さく質素で商店もそ

    『モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る』 - HONZ
    taron
    taron 2017/08/24
    へえ。チンギスの都跡からは、鍛冶工房が大量に出ると。金から供給を受けた鉄で軽騎兵を創出ね。
  • 『戦場を歩いてきた カラー写真で読み解く戦場のリアル』ジャーナリストが見つめた戦地の日常 - HONZ

    書は日テレの番組、NEWS24の「戦場を歩いてきた」というコーナーを書籍化した物である。戦場ジャーナリストである佐藤和孝が戦場で撮り溜めてきた写真を通して、戦地に生きる人々の日常の姿を伝えるという趣旨の下に作成されたコーナーである。戦争と言う非日常の中にも日常がり、人々はそこでメシをい、笑い、結婚もし、生きていく。しかし、尺の限られたニュース番組では最前線の戦況を報じる事が優先され、戦地で生きる人々の当の姿を伝える機会が無い。そう感じた著者の思いを日テレの報道局長以下が受け止め実現した番組だ。そしてそこから書が生まれた。 書では番組でも紹介された多くの戦地の写真がカラーで掲載されており、文章のみでは伝えきれない戦地に生きる人々の姿と、瞳をまざまざと見ることができる。書前半ではアフガニスタン及びイラクが、後半ではウクライナロシア派民兵が取材されている。 戦場ジャーナリスト佐藤和

    『戦場を歩いてきた カラー写真で読み解く戦場のリアル』ジャーナリストが見つめた戦地の日常 - HONZ
    taron
    taron 2017/08/20
    日常生活の場としての戦地か・・・
  • 『金融に未来はあるか』金融危機の必読書 - HONZ

    今年これまでで、もっとも面白かったである。書評を書くと決めたを読むときには、引用したいページに付箋を張りつけるのだが、今回は付箋を張りすぎて、読み終わった後にさらに厳選して別の付箋を張りつけるはめになったほどだ。今年の金融読み物ナンバーワンだろう。 リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機。これまで幾多もの書籍が出版されているが、そんな中でも必読書と言えるのが『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』と書だ。『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』は、世界金融危機の内幕を詳細に観察した稀有な書だったのに対し、書は、金融危機を長期的で俯瞰的な目線で分析する卓越した一冊である。 書を読めば、市場経済が何を間違ったのか、どう対処すべきかがよく理解できる ノーベル経済学者ジョセフ・スティグリッツの評価だが、その他にも欧米メディアや識者から書は絶賛を浴びている。研究者・実務家で

    『金融に未来はあるか』金融危機の必読書 - HONZ
    taron
    taron 2017/08/20
    「無責任なギャンブル」は今でも横行しているよなあ。