「めっちゃ強かったです。迫力がハンパなかった」 高校サッカー選手権開幕戦、優勝候補筆頭・東福岡の前に立ちはだかった三鷹GK武田啓介は、満面の笑顔を浮かべながら「最強の対戦相手」への惜しみない賛辞を送った。 打たれたシュートは21本。作られたチャンスは両手の指に収まらないほどだが、「最初の一本を止めて楽になった」という武田は、シューターのタイミングを上手く察したセービングで東福岡の攻勢に粘り強く対応。コーナーキックから失点したあとも、崩れることなくゴールを守り続けた。 結果は0-2。無念には違いないが、「やり切りました」という充実感ものぞかせた。「CKは無理っす(笑)」と笑いつつ、「体は付けてくれていた。東福岡は強くて、それでも決めてくるんです」と、さりげなく味方をかばいつつ、またしても相手を讃えた。 そんな武田がGKになったのは2年生の6月。同学年にGKがいなかったという都立校らしい転向理