福岡市の85歳の女性から、お叱りの便りを頂いた。戦時中は毎日、学徒動員の工場で飛行機造り。終戦後は教科書の塗りつぶしばかり。文面には「どんなに勉強したかったか…今思い出しても胸がつぶれる思いがします」とあった ▼「うるう年」について書いた2月29日の小欄。平年より多い1日を「登校日が増える子どもには迷惑だろう」と記した。学校どころではなかった体験から、女性は「軽々しく書かないでください」と不見識な一文をたしなめていた。弁明の言葉もない ▼折しも高校、大学の入試や合格発表の時期である。苦労を花開かせた人もいれば、力及ばなかった人もいよう。夢と現実の間で進路に悩み、進学自体を断念した人もいることだろう ▼「学ぶ」ことは生涯、どこにあっても本人次第。けれど、「学べる」のは当たり前のことではない。社会や家庭の状況、経済的理由など個人の努力や頑張りだけでは越え難い壁もある。胸がつぶれるほどの思いで学