また中国に依存しなくても済む生産体制の構築は、有事の際に中国抜きでも事業を継続できるようにすることを意味している。それは平時において中国事業を撤退させることを意図しているわけではない。各企業の取り組みや方針を正確に理解することが大事だ。 いざというときのためのコストをいわば「保険」として負担しつつも、平時の利益最大化を目指し続けるのは企業経営として自然な姿勢である。逆に経済安保を過剰に解釈して、各企業の個別の実態も理解せずに理不尽な非難を喚起することは企業活動を萎縮させ、日本の利益にもならない。 国内では人手不足問題も 円安もあり、現在は生産拠点を日本に戻す好機という指摘もあるが、この点でも村田製作所の取り組みは重要な示唆をもたらしている。 同社の国内生産比率は6割だが、それは日系ブラジル人をはじめとする多くの外国人労働者に支えられている面がある。主力の出雲工場がある島根県出雲市では、同社