箱を解き 石を解き 面を解け よきものが待っている 財閥の当主が遺した遺書の謎を、工学系の大学院生の主人公は久々に会った美女の従妹と共に解き明かしていく――。 こてこてと言っていいぐらい極めてオーソドックスな滑り出しです。それに従妹は主人公を慕っているけど、でもアタックしきれず主人公も気持ちを汲んでくれないからやきもきするとか基本ですよねーと。 調査の描写は外連味は乏しいですが、丁寧に描かれます。6cm四方の立方体の金属の箱を見つけ、金属の種類の推測や透視による内部の観測などにより箱の謎に迫っていくのですが、内部の空洞に何が入っているか解らないことを前提にきちんと理詰めで追っていきます。それから山中にある大きな石を調べていく内に狐の仮面をかぶった少女に遭遇し、この謎めいた少女の出現により箱・石・面の札は揃い、物語と謎は加速していきます。例えば50年以上前の写真に財閥の当主と同じ仮面で同じ年