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2010年12月24日のブックマーク (9件)

  • 【レビュー・書評】〈死の欲動〉と現代思想 [著]トッド・デュフレーヌ - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    〈死の欲動〉と現代思想 [著]トッド・デュフレーヌ[掲載]2010年9月19日[評者]斎藤環(精神科医)■精神分析の二度目の“死”に照準 20世紀は「精神分析の世紀」だった。いまや精神分析は、効果の疑わしい過去の治療法として、共産主義よりは緩慢な死を迎えつつある。 精神分析は二度死ぬ。一度目は治療の技法として。二度目は批評理論として。心理学者ハンス・アイゼンクらの手によって、一度目の死は確認された。問題は二度目のほうだ。思想や批評理論における精神分析の影響は、いまだきわめて大きい。 デュフレーヌは賢明にも後者に的を絞った。この領域ではフロイトが“発明”した〈死の欲動〉こそが諸悪の根源なのだ。 フロイトは、そのもっとも思弁的な論文「快感原則の彼岸」において、孫の遊びに注目する。糸巻きを投げては引き戻す遊びを、母親の不在の苦痛をあえて再演する行為と考え、そこに自己破壊衝動、すなわち〈死の欲動〉

  • 【レビュー・書評】古代ローマ人の24時間―よみがえる帝都ローマの民衆生活 [著]アルベルト・アンジェラ - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    古代ローマ人の24時間―よみがえる帝都ローマの民衆生活 [著]アルベルト・アンジェラ[掲載]2010年10月10日[評者]柄谷行人(評論家)■一日を再現、積年の疑問解けた 書は、古代ローマ最盛期の社会を、一人の人物(語り手)の一日の経験として描くものだ。もちろん、フィクションであるが、細部に関しては最新の史料にもとづいている。私は古代ローマの政治や経済について多少勉強したが、具体的な姿はわからなかった。せいぜい小説映画から得たイメージしかない。また、それに関して疑問に思っていたことがたくさんある。たとえば、なぜ彼らはいつも公衆浴場にいるのか、誰が奴隷かどうしてわかるのか、というような。 ローマは最盛期に人口150万人といわれるが、狭い土地にどうしてそんなに人が住めたのか? 高層の集合住宅が林立したのである。そのために投機的で悪質な開発業者が横行した。家賃が払えないと野宿者になる。その意

  • 【レビュー・書評】量子の社会哲学 革命は過去を救うと猫が言う [著]大澤真幸 - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    量子の社会哲学 革命は過去を救うとが言う [著]大澤真幸[評者]柄谷行人(評論家)[掲載]2010年11月21日著者:大澤 真幸  出版社:講談社 価格:¥ 2,310 ■異質なものの遭遇 新たな意味へ 量子力学以前の物理学では、観察者を超えた、超越的な視点あるいは超越的な何かが仮定されてきた。たとえば、相対性理論も光速を一定と仮定することで成り立っている。ところが、量子力学がもたらしたのは、そのような超越的視点がもはやないという認識である。光子や電子は、粒子であり且(か)つ波動である。しかし、それらを同時に知ることができない。観察するかしないかで、そのあり方が変わるからだ。そこでは、いわば、結果が原因を創(つく)りだす。といっても、観察者に問題があるのではない。対象そのものが不確定的に存在するのだ。 書は、このような科学認識のあり方を、古代から中世・近代を経て今日にいたる知的変容にお

  • 【レビュー・書評】書評委員お薦め「今年の3点」 斎藤環 - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    書評委員お薦め「今年の3点」 斎藤環[評者]斎藤環(精神科医)[掲載]2010年12月19日斎藤環さん著者:阿部 和重  出版社:講談社 価格:¥ 1,995 (1)ピストルズ [著]阿部和重 (2)半分のぼった黄色い太陽 [著]チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ [訳]くぼたのぞみ (3)身体の歴史(1〜3) [監修]アラン・コルバンほか [監訳]鷲見洋一ほか (1)は形式主義的な手法を自在に操る作家・阿部和重が、満を持して放つ神町サーガの第二部。あらゆるフィクションが多重レイヤー化される中で、「女性性」の視点からの語り直しによる「歴史の重層化」をもくろむ作家の試みは一頭地抜きんでた。 (2)は阿部より若い世代の作家による、古典的かつ重厚な構えの歴史大作。60年代後半に起きたビアフラ大虐殺を背景として展開する真摯(しんし)なラブストーリーは、私の中の「アフリカ」の風景を一変させるとともに

  • 【レビュー・書評】書評委員お薦め「今年の3点」 柄谷行人 - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    書評委員お薦め「今年の3点」 柄谷行人[評者]柄谷行人(評論家)[掲載]2010年12月19日柄谷行人さん著者:ヤコブ・M・ラブキン  出版社:平凡社 価格:¥ 5,670 (1)トーラーの名において―シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史 [著]ヤコヴ・M・ラブキン [訳]菅野賢治 (2)天使はなぜ堕落するのか―中世哲学の興亡 [著]八木雄二 (3)量子の社会哲学―革命は過去を救うとが言う [著]大澤真幸 今年は宗教関係のが目立った。社会主義とナショナリズムが勢いを無くしたので、宗教がそのかわりをするようになったからだろう。たとえば、これまでシオニズムを批判したのはもっぱら左翼であったが、(1)は、ユダヤ教の立場からのシオニズム批判を扱っている。シュロモー・サンド『ユダヤ人の起源』(武田ランダムハウスジャパン)をあわせて読むと、根的に見方が変わるはずだ。 (2)は、これまで古めかし

  • aabiblio @ ウィキ

    「はじめにメディアありき」(浅田彰)(『イコール』1983年6月号)ということで、メディア掲載順に、書誌を作成しました。 ほぼ網羅はしていると思いますが、未完成です。また、まだ、単行未収録で、雑誌掲載のみと言う論考があると思います。ご覧になられた皆様の、お力添えを期待いたします。

    aabiblio @ ウィキ
  • 斎藤環と茂木健一郎の往復書簡「脳は心を記述できるのか」 第1信 「価値のクオリア」は存在するか?(斎藤環)

    斎藤環から茂木健一郎への手紙 はじめまして。 はじめておたよりします。斎藤環と申します。 茂木さんの著書は何冊か読ませていただきましたが、その精力的な活動のすべては、とうていフォローし切れていない点をまずお詫びいたします。 そのかわりといってはなんですが、妙なエピソードからはじめさせていただきます。 じつは私は、茂木さんとこれまでに何度かニアミスしているんですよ。たとえば、私は2006年の夏休みにフライブルクに行ったんですが……(といえばピンと来るかも知れませんね)、ルフトハンザ機内で私たち家族の斜めうしろに茂木さんが座っておられました。驚いたのは、往路だけならまだしも、復路の機内でもほぼ同じ位置関係で、なんというか、この「偶有性」には驚かされました。思えばあの時点で、この企画は萌芽的かつ徴候的に成立しつつあったのかもしれませんね(笑)。 私の茂木さんへの親近感はこれに留まりません。私たち

  • この装丁がすごい!〜漫画装丁大賞〜2010 良いコミック

    【2011|2010|2009】 大層なタイトルをさらに大層にして、今年もやります。 2010年に発売された、コミックのお気に入りの表紙(装丁)ベスト記事です。 今回は紹介量がちょこっと増えて、ランキング116作品+α。 ここまでくると順位はおまけ(コロコロと気分で変わりまくったりも)、 ざくざくとした紹介を、 今年の装丁を振り返るお供にしてもらえれば幸いです。 ●画像をクリックするとamazonに飛びます。 作品の内容の方が気になった方はそちらをご参照ください。 ●画像下に▲マークが付いている作品は、 画像の上にポインタを乗せると別画像に切り替わります。 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【第1位】 狼の口 ヴォルフスムント 1巻 / 久慈光久 全身に鎧をまとった騎兵のイラストをシックに配置したデザイン。 作者の画力の高さを

    この装丁がすごい!〜漫画装丁大賞〜2010 良いコミック
  • 岩波書店

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