PASC(=Long COVID)の病態機序として,ウイルスの持続感染,神経炎症,凝固亢進,自律神経機能障害などいくつかの仮説があります.米国ペンシルバニア大学等から,これら4つの仮説すべてを1つに結びつける病態仮説が提唱されました. まず研究チームはPASCを発症した1500人以上のコホートを追跡調査し,PASC患者と完全に回復した感染者を区別できるバイオマーカーの同定を目指しました.この結果,血漿セロトニンが,急性期COVID-19(中等症,重症)とPASCで減少し,回復した感染者では保たれていることを示しました(図1). このセロトニン減少は,SARS-CoV-2ウイルス感染に特有のものではなく,他のウイルス感染の急性期あるいは慢性期のヒトやマウスでも観察され,またウイルスRNA模倣物質であるポリ(I:C)を投与したマウスでも観察されました(図2). ここでウイルス感染がどのようにし