東西11キロ、南北27キロ。2340人が住む奥尻島で、温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す「全島脱炭素」の取り組みが進む。檜山管内奥尻町は再生可能エネルギーをフル活用して島全域に電力と暖房を供給する計画だ。脱炭素などをテーマに、札幌市で15、16日に開かれる先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合を前に島内を歩いた。 島北西部の湯浜地区。ブナ林の間に深さ1600メートルから熱水をくみ上げる2本の井戸がある。このうち1本は、2017年完成の奥尻地熱発電所(出力250キロワット)につながっている。熱水で沸点が低い冷媒を沸騰させ、その蒸気でタービンを回転させて発電する「バイナリー方式」だ。...