政治哲学への招待―自由や平等のいったい何が問題なのか? 作者:アダム・スウィフト 風行社 Amazon ●格差原理と、不平等の正当化 分配の正義に関する論争において、最大の注目を集めたのは、最後の原理ーーすなわち、格差原理ーーである。不平等は、どのようにして、もっとも恵まれない人の地位を、最大限良くすることに役立ちうるのだろうか。それを理解するわかりやすい方法は、すべての人に同じものを支払うことではないだろうか。ロールズの考えは、もし人々が、実益をもたらすような諸活動において働くよう動機づけられるべきだとすれば、彼らにはインセンティヴが必要かもしれないというお馴染みのものである。そして、議論は次のように進行する。もし経済が、そうでありうるのと同程度に生産的であろうとするならば、何らかの不平等が必要(社会学者は「機能的に」と言うかもしれない)である。不平等がなければ、人々はある仕事を別の仕事