昔話なら書き出しはむかしむかしあるところにで済むから、わざわざ凝った文章を考える必要はない。最後の一文も、どっとはらい、めでたしめでたし、というお話だったのサ、しあわせに暮らしましたとサ……等の言葉を最後につければ物語はそれなりに締めることができた。だから本文に想像力のすべてをつぎ込めたのだ。 でも現代ではそうはいかない。ハイここでこの話は終わりましたよ、と示されなければ思いは宙ぶらりんのままだ。ユーモア小説ならともかくとして、めでたしめでたしではとても締められない。 どんなに大きく広げた物語の風呂敷も閉じられる、便利な〆の言葉があると絶対便利だと思う。