徳久 良子((株)豊田中央研究所) 1.は じ め に 対話コーパスの規模の拡大や,深層学習などの技術の進化により,ここ数年で対話システムの応答生成の精度は大きく向上した.音声処理や画像処理などと同様に,対話システムにおいても「end-to-end 深層学習(end-to-end deep learning)」が全盛だ.「end-to-end 深層学習」とは,入力と出力のペアを学習器が“よしなに” 学習する方法で,大規模なコーパスと強力な学習器を用いることで,多くの分野で従来より高い性能が実現されている.対話システムでは,Facebook AI ResearchのBlenderbot や,MicrosoftのDialoGPTがオープンソース化されており,大規模な対話コーパスを用意すれば独自の発話生成モデルを学習することも可能となった. 一方,「会話分析(Conversation Analy