暗黙知と形式知の相互作用による知の創造プロセスをモデル化し、ナレッジマネジメント(知識経営)の世界的第一人者として知られる野中郁次郎・一橋大学名誉教授──。 その野中氏が、本来持っていたイノベーションのDNAを失い、国際的な競争力を低下させ続けている日本企業の現状を憂慮。イノベーションの創出力を取り戻すための方策を緊急に説く。 野中氏による緊急特別講義を、同氏とともにイノベーションの事例研究に取り組み、『イノベーションの知恵』(日経BP社)などの共著を世に送り出してきたジャーナリストの勝見明氏が書き下ろしでお届けする。 第3講の今回は、知識創造が企業の競争力を左右する知識経営の時代のリーダーに求められる発想の転換について解き明かす。 ディシジョンからジャッジメントへ──。 リーダーの条件といえば、従来は意思決定力、すなわち、ディシジョンメイキングの能力が重要とされてきた。しかし、今はそれ以