中岡慎太郎館は、国道55号線を左折して、奈半利川沿いに国道493号線を山奥に入った北川村にある。そこは慎太郎の生地で、館の近くには生家もある。十年ほど前に訪れたときは、道が狭くて交通が不便なところだったが、現在は道路がすっかり整備され、55号線から慎太郎館までのアクセスは約13分と案内されている。この季節、1月から2月にかけての気候はとてもとても温暖で、陽射しが明るく暖かく、空気がやさしく心地よく、ぽかーんとした陽気に包まれて、無憂の空間に身も心も浸らせて時間を送ることができる。その気候は、土佐湾の東側が特にそうで、海岸の上の青い空にまるで太平洋高気圧の中心が見えるようだった。慎太郎は常に早足で街道を歩き、一日に十里二十里を疾駆して国事に奔走した。早足で歩く頭の中では、幕閣の動き、朝廷の動き、雄藩の動き、志士の動き、外国の動きの刻々の諸情報が回路を循環し、情報処理され、回天の実現に向けて一