その光景を見て、一瞬、目を疑った。教室では私語が厳禁のはずなのに、学生たちが教授であるカワン・スタントの存在をさして気にかける様子もなく、自由に話し合っているからだ。 一方、スタントと言えば、ニコニコ笑いながら教室を歩き回っている。いつもは、講義の最後にヘトヘトになるくらいエネルギーを消費しながら学生たちに熱く語りかけているのに、そこで目にするスタントは明らかに違っている。 これまで紹介してきた「スタント・メソッド」の根幹は、教える側が本気の姿勢を身体で示すことで、教えられる側のやる気に火をつける、というものだった。しかし、その教室でのスタントは、あからさまな本気の光線を、学生たちに対して、発してはいなかった。 「これまでにないキセキです」 「私のクラスで、新たなキセキが起こっています。これまでにないキセキです」 スタントは、興奮を抑えきれないような語り口で、編集部に電話をかけてきた。落ち