当時のドニに影響を与えたものとしてほかに日本の美術がある。フランス人の日本美術への関心は1850年代にはじまる。1855年のパリ万博で日本の美術が展示され、また1890年にエコール・デ・ボザールが日本の浮世絵の重要な回顧展を開催している。 1890年以前、ドニは、日本の美術を広く欧米に紹介したサミュエル・ビングの書籍『藝術の日本 1888〜1891』に掲載されているイラストを切り抜き、絵を描くときに手本にしていたという。1888年11月、ドニは友人のエミーユ・ベルナールに、「色を与える」ことから「日本のように調和する」方向へ移りたいと話していたという。 ドニの作品における日本画の特徴は、日本画のように横幅の広いフォーマットで、定型化された構成と装飾性に現れている。 1890年8月、ドニは新しいアイデアを思いつき、雑誌『Art et Critique』のレビュー欄で有名な論文『新古典主義の定