東海北陸地区県立図書館間の定期宅配便,開始から10年 「国立国会図書館サーチ」(CA1762参照)や「カーリル」(E1035参照)など,全国の図書館の蔵書を容易に検索できるシステムの発達等と前後して,筆者の所属する富山県立図書館においても,利用者から図書館に寄せられる県外への資料の要望は増加傾向にある。また,2012年3月に刊行された全国公共図書館協議会の『公立図書館における協力貸出・相互貸借と他機関との連携に関する報告書』でも相互貸借の改善への期待が示されているところである。県境を越える相互貸借(以下,県外貸借)への要望に対応する事業として,富山県は,東海北陸地区の6県(愛知,岐阜,三重,石川,福井及び富山)で,県立図書館間の相互貸借に関する協定を締結しており,県立図書館間の定期宅配便事業(以下,定期便)を実施してきている。本稿では開始から10年を迎えるこの事業について,その意義や課題を