橋下徹大阪市長の性風俗業と慰安婦に関する発言が国際問題となっているが、その是非は他でさんざん論評されているので置いておくとして、これを機会に「人権と外交」について少し考えてみたい。 というのも、橋下氏の一連の発言は、内容如何にかかわらず、人権外交としては最悪であり、政治家をはじめとする社会的影響力のある方々は、人権外交が国際的にどのように行われているかをまずは知っておくべきだと思うからだ。 各国の人権問題が国際的に議論される公的な場というのは様々あるが、なかでも近年、専門家の間で最も重要視されているものの一つが、国連人権理事会における「普遍的定期審査(UPR)」だ。UPRとは,国連人権理事会の創設に伴い、国連加盟国(193ヶ国)全ての国の人権状況を普遍的に審査する枠組みとして盛り込まれた制度で2008年から実施されている。審査は国連加盟国全てが議論に参加し,NGOも作業部会を傍聴することが