慶應義塾大学医学部医化学教室の加部泰明講師、末松誠教授(現AMED理事長)らの研究グループは、難治性がんを含む多くの悪性腫瘍で高発現している膜結合性ヘムタンパク質である PGRMC1 の構造を解明することで、がん細胞が増殖を活性化する仕組みと、抗がん剤に対する耐性を獲得するメカニズムを世界で初めて明らかにしたと発表しました。 さらに、重合化したPGRMC1は、がん増殖に関わる上皮成長因子の受容体(EGFR)と会合して、がん増殖シグナルを増強すること、また、薬物代謝酵素であるシトクロム P450 とも会合して抗がん剤の分解活性を増強し、がん細胞の薬剤耐性を促進することが分かりました。 本研究により、PGRMC1 はがん細胞内のヘム濃度に応答して重合化することで活性化し、がん細胞の増殖促進や抗がん剤耐性獲得に関与するというダイナミックな構造変換によって機能していることを明らかにしました。また、