文=西部謙司 世界中がバルセロナに注目するようになってから、すでに数年が経過している。 メッシのいないバルサのようなスペイン代表との相乗効果で、バルサ・スタイルは戦術の大きな流れを作るに至った。あのサッカーが好きな人も嫌いな人も、無視できない存在になった。 模倣を試みたチームも数知れない。イタリアのASローマが、バルサBの監督だったルイス・エンリケを招聘して“バルサ化”にチャレンジしたこともあったし、プレミアリーグのスウォンジーはブレンダン・ロジャーズ、ミカエル・ラウドルップと監督を代えながらも一貫したポゼッション・スタイルを指向していた。 カテナチオの国であるイタリア、ロングボールの伝統があるイングランドで、ローマやスウォンジーは異色の存在だった。しかし、それもそう珍しくないと思えるぐらい、バルサ化は大きな潮流になっていた。日本にもバルサ・スタイルの影響はある。選手もコーチもバルサのサッ