国の新しい自殺総合対策大綱(二〇一二年八月に閣議決定)で、若年層の自殺対策は重要課題に挙げられているが、その土台となる研究は極めて乏しい。科学的根拠を高めるため、東京の自殺予防総合対策センターが中心となり、国内外の研究成果や取り組みを紹介する報告書づくりを進めている。先月三十日、東京都内で中間報告会とシンポジウムが開かれ、医療、社会、教育など幅広い発表があった。 (編集委員・安藤明夫) 日本の自殺者数は、一九九八年から十四年連続で三万人台に達したが、二〇一二、一三年は二万七千人台に減少した。しかし、二十歳未満に限ると、九八年から十六年連続で五百人以上と、横ばいだ。 中間報告では、自殺予防総合対策センター副センター長で、報告書づくりの医療班代表の松本俊彦医師が、未解明の部分が多いことを強調。その上で「若年層の自殺対策は、慢性型と突発型に分けて考えていく必要がある」と話した。