投稿「私の視点」 鈴木弘貴・聖心女子大学教授(グロ-バルジャーナリズム) ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川氏による「性加害」問題は、国連人権理事会の作業部会が調査に入る事態に発展した。だが日本の主要メディアがこの問題を報じたのは、英公共放送BBCの報道番組が今年3月に放映されたあとのことだ。 日本の報道は、なぜBBCに後れを取ったのか。朝日新聞の野村周ゼネラルエディターが「性加害、とりわけ男性への性加害という問題に対する認識が不足していた」(6月29日付)とのコメントを発表しているように、多くの日本のジャーナリズムはこの問題を芸能界での「性的な」加害行為とみなしている。 しかし、報道番組の取材にあたったBBCのモビーン・アザー記者は、筆者とのメールインタビューの中で、この件における「最もはっきりとしたテーマは〈子どもの虐待という人権問題〉だった」と答えている。ここには、ジャニーズ事務所で