父親が苦手だ。 彼の娘として生まれて30年近いけれど、まともに話した記憶も無い。 学校行事に来てくれたことも無いし、旅行に一緒に行った事も記憶の限り無い。 そう言えば名前を呼ばれた事もほとんど無い。 目も合わせてくれない。 ただ時折二人きりになると、私の人生がいかに間違っているかを一方的に短く言い放って、あとは新聞に目を落とす。 笑った顔も見ない。私が作る料理にはいつも何の言葉も無い。 彼が一体何を考えているのか、私の事をどう思っているのか、さっぱり分からなかったけれど、今日ようやくスッキリした。 母が耐えきれず私に零したのだ。 ごめんなさいね、本当にごめんなさい。 そんな謝罪から突然始まった告白は、ちょっと私には重すぎた。 母は元々父と結婚する気などさらさら無かったらしい。 なにせ父と出会った時、母は別の人と結婚していたし、なにより父自身が別の女性と結婚していた。 なのに、父は母に迫った