2013年10月03日07:03 カテゴリ本 「リスク社会」と再帰的近代化 反原発文化人がよく使う言葉に、ウルリヒ・ベックのリスク社会がある。しかし"Risikogesellschaft"を『危険社会』と訳している訳本は、この概念を根本的に誤解している。リスクとは確率的な期待値であって(確率1の)危険とは違うのだ。青酸カリを飲むことは危険だが、リスクとは言わない。 原著はチェルノブイリ事故を受けて書かれたもので、いい指摘をしている。かつて科学は無条件に進歩を意味すると考えられたが、公害問題によって科学信仰に疑問が生じ、原子力によって社会が科学をコントロールできるのかという疑問が生じた。しかもこうした科学の副作用を調べるのも科学者なので、彼らの自己評価にバイアスが入ることは避けられない。このように科学が近代社会によって相対化されることを、ベックは再帰的近代化(本書では「自己内省的近代化」)と