「昔は15、16で嫁入りしていた」 上記のような記事が話題になっているようなので、いくつかの歴史人口学の書籍から江戸時代の結婚と出生に関する定量データを簡単にまとめてみよう。 1)江戸時代の人口トレンド江戸時代の人口調査を行うときに用いられる基礎資料は毎年藩ごとに調査される世帯構成員の状況を記した「宗門人別改帳」、寺院ごとに死者を記録した「過去帳」、一部の藩で嬰児殺し(間引き・子返しなど)防止や養育手当支給などのために妊婦の状況を記録した「懐妊書上帳」、徳川吉宗によって始められた六年毎(子年と午年)の全国人口調査「子午改め」、武士の「家譜」などである。しかし残っている史料は少ないため多くは推計せざるを得ない。 江戸時代を通してのざっくりとした人口トレンドは、1600年頃の1200万人(推計)が十七世紀の人口の急成長期を経て1721年時点で3200万人(推計)となり、以後1850年頃までほぼ