2013年12月28日10:58 カテゴリ科学/文化 シュッツと生活世界の自明性 山内志朗氏はなぜか飛ばしているが、「存在の一義性」についてとことん考えた哲学者は、フッサールである。彼は初期には存在の自明性を「括弧に入れる」手法として現象学的還元を考えたが、晩年には逆に自明性を説明する概念として生活世界を考えた。彼がその後継者と考えていたのがシュッツである。 シュッツの出発点はウェーバーで、彼の社会学が認識論的にはお粗末な新カント派にもとづいているのを現象学で厳密に基礎づけようということだったが、次第に独自の現象学理論を構築するに至る。その全貌は、主著"Structures of the Life-World"を読まないとわからないが、本書は社会学者でもわかる論文集である。ウェーバーの宗教社会学の鍵になっているのは「他者理解」である。異なる宗教に出会うとき、研究者はそれを理解不能な「呪術」