今年9月に社2000億円の償還を迫られるシャープにとって韓国メーカー・サムスンからの出資金103億円はさほど大きな額ではないように見える。だが、日本の家電メーカーに韓国の資本が入ることは数字以上の意味を持つ。 シャープの提携先がサムスンと聞いて、ある経産省幹部は落胆を隠さなかった。 「サムスンとの提携は終わりのはじまりですよ。これで国を挙げてシャープを支援することは難しくなる」 日本の製造業をサポートする立場にある経産省には、サムスンとは深い因縁があった。 2000年代に入り、ものづくり大国ニッポンの牙城を崩していったアジアメーカーに対し、経産省は早くから警戒感を持っていた。特に日本のリーディングカンパニーの商品を模倣して大量生産し、販売網を広げていくサムスンは脅威に映った。経産省幹部は告白する。 「こうした相手と世界市場で対峙するにあたって、日本企業の唯一の強みは技術力で優位に立っている