《ああ、今日も生きて命があった。しかし明日は死が待っている》-。先の大戦の激戦で知られるビルマ(現ミャンマー)戦線から生還した元兵士の山本栄策さん(102)=滋賀県草津市=が自身の体験をもとにした私小説を執筆し、自費出版した。前編だけでも200ページを超え、後編の執筆も継続中。負傷を繰り返した地獄のような日々と祖国への思い、そして平和への願いが100年を超える人生を振り返りながらつづられている。 「難しい操作はできませんが…」。軽快にキーボードをたたく音が書斎に響く。朝起きるとパソコンに向かい、ひたすら文字を打ち続けるのが日課だ。現在執筆しているのは、昨夏に自費出版した私小説「百二歳の旅人」の後編。復員後から現在までの話になるといい、「今は改行など細かい調整段階。できるだけ早く完成させたい」と意気込む。 山本さんが執筆してきた手記や小説 約20年前、パソコンの普及とともに使い方を習得した。