中国が東シナ海に設定した防空識別圏(ADIZ)は、早くも形骸化した感がありますね。もちろん、馬鹿にしたり油断したりするのはご法度ですが、これほど米国に鮮やかに出鼻を挫かれるとは思ってもみなかったでしょう。何度も言いますが、自国防空のための「識別圏」であるはずのADIZを、さも領空であるかのように強制力を他国に行使しようというランドパワー的発想が受け入れられるわけがありません。海においても空においても「航行の自由」は米国の逆鱗で、これにうかつに触ることになった今回の件は明らかに北京の失策と言えるでしょう。日本だけを脅すつもりだったのかもしれませんし、A2ADの一環として米軍を牽制する意図もあったのでしょうが、米国は甘くなかったですね。いずれにしても、航行の自由を侵害する相手に対し、米国はまったく容赦しない意思を示しました。これは日本の国益にも一致しています。 中国は排他的経済水域(EEZ)の