朝日新聞東京本社ビル (2023年12月撮影) 与野党問わない定番 「国のためならば電信柱にでも頭を下げるつもりで総裁になった」―。これは1960年に岸信介首相の後を継いだ池田勇人氏の言である。今回の自民党総裁選で電信柱に頭を下げた人がいるかどうかは知らないが、議員ともなると、与野党を問わず「電信柱にも頭を下げる」。これは選挙運動の“定番”である。ましてや票をまとめる団体になら、いくらでも頭を下げる。それは組織票と呼ばれる。自民党は各種団体、野党は労組が組織票を担ってきたのはよく知られたことだ。来たる総選挙でもそれが見られるだろう。 いささか堅苦しく言えば、元来、政治活動の自由は憲法21条(集会・結社・表現の自由)で保障される国民の基本的人権である。憲法学者によれば、それは普遍的(特定の国民が排除されてはならない)、固有的(人は生まれながら保持している)、不可侵的(侵すことができない性質)