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ブックマーク / www.anlyznews.com (10)

  • 「多数決を疑う」を疑う

    世の中、多数決など投票で物事を決めることは多いが、様々な投票がどういう癖を持つのか、詳しく考えた事のある人は少ないと思う。しかし、経済学の中には社会選択論と言う分野があり、そういう事を延々と考えている研究者がいる。ネット界隈の経済学徒の間で話題の新書、慶應大学の坂井豊貴氏の「多数決を疑う」は、一般向けに社会選択論の知見を紹介しつつ、さりげなく著者の政治観を世に問う意欲作で、民主主義云々と語りたい人にはお勧めできる一冊である。しかし、疑って読むべきところも多少あった。 1. 書の概要 単純多数決だけが投票ではなく、決選投票を行う制度にしたり、選択肢に点数をつけるて合計するものなど種類がある。様々な意見の集約ルールがあるわけだが、方式が違えば結果も違ってくる。マルケヴィッチの反例を見ると、代表的な五つの集約ルール全てが違う結果を出す。どの集約ルールを選ぶべきなのであろうか。ルールによって、コ

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    tteraka 2019/05/06
  • 毎月勤労統計の500人以上の事業所の全数調査をサンプリング調査に変えると、どの程度、精度が落ちるのか?

    毎月勤労統計に関して500人以上の事業所に関して全数調査をサンプル調査に切り替えても適切に統計処理をすれば十分な精度が得られるという大阪大学の大竹文雄氏の主張*1に、東北大学の田中重人氏が「2003年の時点で「きまって支給する給与」平均値の1%の増減を識別できなくなっていたことは『毎月勤労統計要覧』チェックすればすぐわかる」から「嘘だ」と批判している。しかし、そんなに精度が落ちる理屈は無さそうなので記しておきたい。 田中重人氏の主張は、(1)現在でも十分な精度が得られていない、(2)サンプル調査に切り替えると精度が大きく落ちるの二つに整理することができると思うが、両方とも可能性が低いように思える。 要求次第なのだが、0.5%ポイントの変動を捉えるには十分な精度はある。主な利用目的の一番目にある失業保険の給付額の算定には『年度の平均給与額(毎月勤労統計調査における4月から翌年3月までの平均定

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    tteraka 2019/01/22
  • ジェンダー論をやっている社会学者にも「マンガ 化学式に強くなる」を読んで欲しい

    そして発狂して欲しい。 ある秀逸なエントリー*1を眺めて興味をもって「マンガ 化学式に強くなる―さようなら、「モル」アレルギー」読んだのだが、面白かったので紹介したい。日のポピュラーサイエンスの雄、講談社ブルーバックスの一冊なので同人ではない。中学生向きなのだが、オトナにも3つの意味で懐かしいと思う。 内容は、男性経験が豊富で脳みそが色ボケしている女子高生に、恋愛経験なく奥手なつくばの研究者(ただし、チェック柄のシャツではない)が化学を教えるという、ジェンダー論をやっている社会学者が発狂しそうなプロットの学習マンガである。白いモノで、先生役のつくばの研究者は塩を連想し、生徒役の女子高生は…恥ずかしくて言えない。 創作物がジェンダー・ロールに影響を与えるかは疑わしい*2し、そうだとしても女の子だから科学にやる気がないと言う偏見なのか、やる気がない女の子も化学を勉強すべきと言う主張なのかは

    ジェンダー論をやっている社会学者にも「マンガ 化学式に強くなる」を読んで欲しい
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    tteraka 2018/10/24
  • ニュースの社会科学的な裏側: ジェンダー論をやっている社会学者は“被害者”

    社会学者の千田有紀氏の何度目かの炎上騒動の最中なのだが、「市民的公共性」と言う単語を濫用して突っ込みを受ける*1ばかりではなく、自分は権威なのだから素人は学識を疑うなと言う姿勢の過去の発言が槍玉にあがっている*2。 今回の事例だけではなく、他分野から見て根拠をよくつけられていない主張を社会学者がすることは多く、社会学と言う学問への疑問が渦巻く自体になっている。しかし、千田有紀氏の議論に関しては、社会学と言うよりはジェンダー論に内在した問題に思える。 1. ネット界隈で露呈するジェンダー論界隈の主張の脆弱さ ネット界隈ではお気持ち表明と揶揄されているが、ジェンダー論者はその程度の論理しか構成できない。 小宮友根氏は相関と因果の見分けがついていなかった*3し、古谷有希子氏のときは彼女がまだ院生であることを加味しても、周囲の社会学者はあれだけ初歩的な間違い*4を指摘することなく、むしろ擁護してい

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    tteraka 2018/10/09
  • ネット論客が用いがちな19の詭弁

    COVID-19 (39) MMT (12) ゲーム (7) ジェンダー (158) ソフトウェア (98) デザイン (16) 医療 (129) 医療,批評 (1) 英語 (23) 科学 (164) 確率・統計 (144) 環境問題 (136) 企業 (71) 記事整理 (5) 技術 (254) 金融 (263) 軍事 (92) 携帯電話 (94) 芸術 (11) 広告 (30) 航空 (109) 災害 (18) 財政問題 (71) 資源 (72) 事故 (31) 写真 (16) 社会 (551) 書評 (220) 冗談 (39) 数学 (45) 政治 (397) 中国 (32) 朝鮮半島 (60) 動画 (135) 犯罪 (64) 批評 (870) 表現規制 (74) 歴史 (83) 労働問題 (91) ネット界隈での議論では、誤謬推理と言うか詭弁を弄する輩は多い。素人談義だから仕方が

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    tteraka 2018/07/09
  • 山口二郎の科研費について杉田水脈に踊らされる前に知っておくべきこと

    杉田水脈衆院議員が、政治学者の山口二郎氏が過去に10名を超えるグループの研究代表者として10年で累計6億円の科学研究費を取っていた事を示唆し、ちょっとした騒動になっている。杉田氏はこの金額が妥当ではないと言いたいようだが、その弁に煽られるのは問題だ。金額だけで是非を判断する事はできないし、科研費は研究計画書に基づいて文科省が採択し、その支出は厳しく管理され研究に関係の無いことへの支出は許してくれない。研究に関係ある事にも支出させてくれないと言う愚痴すらある。 1. 科研費の使途は厳しく管理されている 科研費は文科省が出している研究資金で、文科省の規約にしたがって大学事務等の研究者の所属機関が使途を管理している。過去に色々と不正があったために年々と利用ルールが厳しくなっており、今ではもっとも扱いづらい研究資金の一つとさえ言えるであろう。飛行機の半券や物品の領収書を取る事は勿論、出張先での宿泊

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    tteraka 2018/05/09
  • 多元的貧困の四次元ベン図

    ► 2024 (37) ► 8月 (3) ► 7月 (15) ► 6月 (1) ► 5月 (2) ► 4月 (4) ► 3月 (8) ► 2月 (3) ► 1月 (1) ► 2023 (71) ► 12月 (7) ► 11月 (2) ► 10月 (4) ► 9月 (10) ► 8月 (6) ► 7月 (6) ► 6月 (8) ► 5月 (5) ► 4月 (2) ► 3月 (6) ► 2月 (9) ► 1月 (6) ► 2022 (88) ► 12月 (3) ► 11月 (3) ► 10月 (7) ► 9月 (5) ► 8月 (9) ► 7月 (8) ► 6月 (9) ► 5月 (8) ► 4月 (8) ► 3月 (10) ► 2月 (11) ► 1月 (7) ► 2021 (64) ► 12月 (5) ► 11月 (6) ► 10月 (9) ► 9月 (4) ► 8月 (7) ► 7月 (

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    tteraka 2017/07/19
  • 科学的に飲食店内の副流煙が有害と言えるのか?

    店内などを原則禁煙(完全分煙された喫煙室は設置可)にしようとする健康増進法改正案に関して、賛否が色々とあるようだ。この改正の正当化をしたいあまりに、科学的なエビデンスを過剰に喧伝している人々がいるので批判したい。疫学調査から得られた統計は有意性も効果量も弱いものであって、喫煙習慣による発がんリスク上昇を知らなければ、そんなに強い信念を持てない分析結果であるはずだ。 1. 個々の研究に有意性が無い 国立がん研究センターのプレスリリースで、統計的に有意な数字で相対肺がんリスクが1.28倍(女性に限ると1.31倍)と言う結果が得られていて、これが代表的な疫学的根拠(もしくはそれのまとめ)になると思う。 9の独立した学術論文の分析結果をつなぎ合わせたメタアナリシスになっており、参照されている個別の研究は、配偶者やその他家族の喫煙習慣により、肺がんによる罹患/死亡相対リスクが上昇するか見たもの

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    tteraka 2017/05/30
    食べ物を食べている人の至近距離で味覚と嗅覚を完全に破壊する悪臭を放つこと自体が問題だろうが
  • 蓮舫議員の二重国籍問題に関して知っておくべきこと

    特に何も無いと言わないように。 さて、蓮舫議員の国籍問題がネット界隈で盛り上がっている。日に限らず政治家の国籍が問題に挙げられることはあるのだが、今回のケースにおいてどのような問題があるのか、よく整理している人はいないようだ。気にしていない人も多いし、冷めかかっている気もするが何かと議論にもなっているので、論点についてまとめておきたい。 1. 事件の経緯 蓮舫氏は日人の母親と台湾人(中華民国国籍)の父親との間に、当時の父系優先血統主義により、日国籍を保有していない状態で日で生まれた。1984年の国籍法改正*1で母親が日人であれば日国籍を取得できるようになり、1985年1月21日に当時17歳の蓮舫氏は日国籍取得の手続きを行い、同年中に日国籍を取得。また、父親に連れられて国籍の事に関し亜東関係協会(現・台北駐日経済文化代表処)を訪問したそうだ。法令から、この後、22歳までに国籍

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    tteraka 2016/09/16
  • 統計学を勉強するときに知っておきたい7つのポイント

    マイクロソフト社が技術分野でもっと熱い専攻の一つとして分析/統計をあげている(Microsoft JobsBlog)。同社以外でも統計学は、今後最も有益なスキルの一つだと考えているようだ(NYT - For Today’s Graduate, Just One Word: Statistics)。しかし、データマイニングの話も一般化しつつあって学習ノウハウなども公開されているが、経験にあわない部分が多い。統計学を初めて勉強するときに知っておいた方が良い7つのポイントをあげてみた。 1. 学習機会やテキストは山のようにあるので利用する 確率・統計の日語テキストは山のようにあり、大学のコースワークを振り返っても、理文問わずにほとんどの学部で確率・統計はあったはずだ。大学院のコースワークでは英語の文献を好む傾向があるが、上級テキストでも日語のものも少なくない。また「マンガでわかる統計学」のよ

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    tteraka
    tteraka 2012/01/12
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