今年6月、とある大の親日家が自殺した。彼は「ちょいワルのロックおやじ」だった。そういえばザ・フォーク・クルセダーズの一員も、あの映画評論家も自殺している……「ロックは人を殺す」のかもしれない。では、一体なぜロックは人を殺すのか?――作家・川崎大助氏が考え抜く「自殺論」の前編! エミー賞の常連だった いわゆるミッドライフ・クライシス(中年期の心理的危機)のひとつと分類されるべき事象なのだろう。「なぜ『ロックおやじ』は自死を選ぶのか?」という問いが、僕の頭のなかにこびりついて離れない。あの事件の衝撃のせいだ。 「ロックが人を殺す」のかもしれない。この問いについて、僕に可能なかぎりの文化論的考察をおこなおうとするのが、この稿だ。ではまず最初に「事件」そのものを振り返るところから始めてみたい。 去る6月6日、アメリカの著名人、元シェフで作家、大の親日家であり、エミー賞の常連でもあるTVパーソナリテ