ぼくは永野護の物語世界をアニメ化するのであれば、宮崎アニメ(宮崎駿監督作品)やエヴァンゲリオンなどと同等の、圧倒的な作画と演出で描いて欲しいと考えていた。永野はアニメのデザイナーであり、エルガイム後半のストーリー原案として制作に参加したことはあったが(富野監督が次回作ゼータガンダムの準備に移ったため)、演出の経験はない。この映画が監督デビュー作となる。だから、演出家としての経験不足から、先に挙げたような大作のようにならないことは、永野ファンとしてひいき目に見ても、まあそうだろうと思っていた。しかし、それらの真似ではない、とんでもない映像が生まれてしまうかもしれないという期待はあった。 永野は公開前、アニメ作品では、とにかく脚本が大事だと発言していた。映画『花の詩女』はシンプルで分かりやすい脚本だとぼくは感じている。この映画は事実上の「ファイブスター物語のアニメ化」であり、物語を作ることにお