2011年は19年ぶりに死刑執行がゼロとなり、未執行死刑囚の数は過去最多になった。日本の死刑制度がどのような状況にあるのか、桐蔭横浜大学の河合幹雄教授が解説する。 現在日本では、殺人事件の年間発生数がコンスタントに減り続けるなか、死刑判決が急増している。昨年、殺人未遂を含めて、発生数は年間千件あまり、死刑判決は年間20を越える。他方で、昨年の死刑執行数がゼロになるなど執行が控えられた結果、死刑囚の収容人数が増えて141人に達している。制度と運用を振り返り、死刑に対する議論の現状を分析したい。 死刑への消極的支持と無関心 明治維新により西洋の法制度を導入することが決まり、1880年に刑事手続についての法律が制定された。爾後、刑事裁判によって死刑は確定され、絞首刑という方法で執行されることとなった。刑確定後、6カ月以内に執行する規定であるが、執行には法務大臣の最終決済が必要とされ、6カ月以内と