1. ――まず『雫』を制作した経緯についてお聞かせください。 高橋:その頃僕は入社したばかりでしたが、ノベルという形式がまだパソコンゲームの世界になくて、それをやろうと目をつけたのは下川(アクアプラス専務)の方だったんです。電話で「『かまいたちの夜』みたいなものを書く自信はある」と答えたら「じゃあそれでいこうや」と下川は思ったらしい。実はリーフに入ったときに僕は別の企画を持って行ったんですよ。家庭教師が出てくる育成シミュレーションみたいな企画を。でもすでにノベルをつくるシステムが先に動いてたんです。そこにシナリオライターとして僕が加わったという形でしたね。 ――なぜノベルで『雫』のようなゲームを? 高橋:当時、ノベルゲームといったらサスペンスかホラーしかなかったんです。それは単純に言うと、どんどんストーリーが明かされていくギミックみたいなもので。たしかにゲームの快楽としては、サスペンスやホ