1.新たな危機説−繰り返される危機説の中で− 「情報技術者が○○人不足する。情報分野を強化すべきだ」このフレーズは、1960年代から繰り返し語られてきた。そして政府は「情報分野」に予算を投下し続け、半世紀後の現在、大学には情報関係学科が林立し、情報技術者も増えた。 ところが、その今、「IT人材」と呼ばれるようになった「情報技術者」の不足が、以前にも増して激しく叫ばれつつある。我々は、この数年来の「産官」におけるIT人材危機説と、その対策の現場を取材した。この調査は今後も継続するが、前半の調査を終え、我々は、それが一産業分野を越えた「日本の危機」であると思うようになった。しかし、「危機」は一部でしか認識されていない。このこと自体が危機的である。このレポートは、この「危機」と「打開への努力」の調査報告、そして、危機打開への新たな政策の提言である。 2.今までとは違う危機 今回の危機説