コロナ禍にもかかわらず、過去最高の売上高を更新する酒蔵がある。「獺祭」で知られる、山口県岩国市の旭酒造だ。 多くの酒蔵が打撃を受けた中、「獺祭」はいち早く景気回復した中国向けなど海外事業がけん引し、2021年9月期の売上高は過去最高の140億円を突破する見通し。3代目の桜井博志会長は、杜氏を置かず、技術を数値化した生産管理で、高品質の酒を工業製品のように精緻に醸して安定供給するビジネスモデルを構築した。 その結果、生まれた「雑味がない」「フルーティで飲みやすい」酒は、日本酒を飲まなかった若年層にも浸透、業績を飛躍的に伸ばした。将来は海外事業の比率を引き上げ、国内との比率を3対1とする目標を持ち「いつまでも地方の中小ベンチャー企業の気分でいては、本気で世界は狙えない」(桜井会長)と真のグローバル企業化を目指して、キャッチフレーズを「山口の山奥の世界一の酒蔵」に変更、社員の給与を今後5年で倍増