国際文化学部を創設するに当たり、情報科学系の教官が所属する大講座の名前をどうするかについてはかなり苦慮したところであるが、結局情報論に落ち着いた。この名称は講座の実態を必ずしも表しているというわけではないので、適正とはいい難い。情報論としたのは言語論、コミュニケーション論といった、他のコミュニケーション学科の大講座名との整合性を重んじたためであり、情報学としなかったのは図書館情報学的なイメージを避けるためである。 こうした学部の創設過程の中での議論でも感じたことであるが、情報論を構成しているわれわれ理科系の教官と、他の文化系の教官との間で、講座のキーワードである「情報」という言葉についての解釈がかなり食い違っているように思える。今日使われている情報という言葉の意味は人によってまちまちであり、混乱しているといえよう。ここでは訳語として登場した情報という言葉が日本語として変遷するさまを見なが