防衛相直轄の情報保全隊が注目されたのは二〇〇七年六月だった。自衛隊のイラク派遣に反対する人々の情報を収集していたことを示す内部文書が流出したからだ。組織内部の情報漏えいを防ぐ情報保全隊が国民を監視していたのだ。 監視差し止めなどを求めた裁判の控訴審は現在も続いている。昨年十二月、原告側は情報保全隊の「週報」を裁判所に提出した。イラク派遣後の一〇年十二月の三週間分にあたり、イラク派遣に関係なく、恒常的に国民監視を続けていることをうかがわせた。 「週報」の中に私の名前を見つけた。市民団体の会合に隊員がいたのだろうか。私の講演について「防衛大綱、武器輸出三原則見直しを終始批判する内容」と記していた。そんな内容だったかな、と振り返りながら、憲法で保障された思想・信条の自由、集会・結社の自由を軽視する姿勢が行間から読み取れた。