沖縄国際大に米軍ヘリが墜落し、焼け焦げたアカギの木。ここで毎年、普天間飛行場の閉鎖を求める集会が開かれている=沖縄県宜野湾市の沖縄国際大で2015年8月13日午後2時21分、須賀川理撮影 「私は戦後生まれなものですから、歴史を持ち出されたら困ります」。沖縄が歩んだ戦中戦後の苦難の経過をこう突き放した菅義偉氏が首相に就いた。そんな首相に読んでもらいたい本がある。沖縄国際大准教授の野添文彬(のぞえふみあき)さん(36)の新著「沖縄米軍基地全史」(吉川弘文館)だ。本土防衛の「捨て石」とされた75年前の沖縄戦から、安全保障の要として米軍基地が集中する現在の沖縄まで。「今、本土側と沖縄側の共通理解が失われている」と懸念する若手研究者が伝えたかった沖縄の歴史とは――。【遠藤孝康/那覇支局】 野添さんが勤務する沖縄国際大(宜野湾市)には1本の焼けたアカギの木が残されている。2004年に隣接する米軍普天間