ノーベル医学生理学賞に決まった京都大iPS細胞研究所の山中伸弥・同大教授(50)が作り出したiPS細胞を医療で利用するには、安全性や倫理的な問題が残されている。 人工的に作り出したiPS細胞には安全性に未知の部分が多く、性質にばらつきがある。無限に増える性質を持つため、作成した臓器の中にiPS細胞が残っていれば、増殖してがんになる恐れがある。 当初、iPS細胞作成に使う遺伝子の中にはがん由来のものも含まれていたため、移植後の「がん化」が最も心配された。その後、がん遺伝子を使わない作成法などが開発され、がん化の危険性は減っている。さらに、山中教授の研究仲間の高橋和利・京都大講師らは今年6月、横浜市で開かれた国際幹細胞学会で望み通りの細胞になりにくくがんになりやすい「低品質」iPS細胞について、見分ける目印遺伝子を見つけたと発表した。 しかし、現段階では、人体に入れても安全な品質を担保する「標