「歴史を刻む第一歩としては最高の舞台でしたね」 天皇杯2回戦、浦和レッズに0−7という大敗を喫したものの、就任して2年半、実質強化して1年半というわずかな歳月でこの場に立てたことに対して、東京国際大学監督・前田秀樹は万感の思いを抱いていた。 「こんなに早い段階でJ1と公式戦で戦えるなんて夢にも思わなかった」 2008年2月1日、前田は寒風吹きすさぶ秩父の山のふもとのグラウンドに立っていた。東京国際大学という、サッカーにおいては無名の大学。そのサッカー部の監督に前田は就任することとなったのだ。かつて日本代表としてAマッチ65試合出場・11得点という記録を残し、古河電工サッカー部でもキャプテンとして黄金期を築いた。引退後はジェフ市原(現千葉)の育成に携わり、阿部勇樹(レスター)や山岸智(サンフレッチェ広島)、村井慎二(千葉)といった、その後“オシムチルドレン”と呼ばれる選手を育て上げ、さ