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クリストとジャンヌ=クロードの作品のなかで、1985年の「包まれたポン・ヌフ」と1995年の「包まれたライヒスターク」だけは観てみたかった。 2005年、ニューヨークのセントラルパークで、彼らが7500本あまりのオレンジ色のゲートを建てた映像は観ているのだが、この2つの作品のように歴史的建造物をすっぽり包むというような強いインパクトは感じなかった。 新しい橋という意味の「ポン・ヌフ」はパリ最古の橋である。アンリ3世時代に起工され1606世に完成した。二人はこの実在する橋を4万平方メートルあまりのポリアミド合成繊維で包んでしまったのだ。展示は2週間におよび、300万人が見物に来たという。許可を与えたのはのちに大統領になるジャック・シラク市長だった。 いっぽうのライヒスタークはベルリンにある旧帝国国会議事堂であり、現在もドイツ連邦議会が置かれている。彼らはこの巨大な建物を10万平方メートルのポ
早いもので、もう4月。新しい年度を迎えて、新社会人、新入生など、新しい生活へと身を転じることになる方も多いのではないだろうか。 新しい環境に入ると、えてして慣れるまでに時間を要するものであるが、この要因の一つに文脈の把握に時間が掛かるということが挙げられる。話している言葉そのものは理解できても、本当の意味で理解できるようになるには、その組織体の文化を含めた背景がきちんと理解されている必要があるのだ。ほんの些細なことでさえも、異文化間で解釈が大きく異なるということは起こりうるものである。 そんな中、本書の著者の異文化体験のユニークさは、群を抜いている。ブラジルの先住民、ピダハンの人々と30年以上にわたってともに暮らし、彼らがどのように世界を見て、どのように理解しているのかを観察し続けたのだ。当初の目的はキリスト教の伝道師として、布教活動を行うこと。しかし、そこでの生活は著者の運命を大きく変え
タイトル『言語の社会心理学』だけでは、抽象的で伝わらないし、内容の推測も難しい。しかし、装丁と帯をよく見てみると、本書のことを伝えようとする気迫が伝わってくる。 副題は「伝えたいことは伝わるのか」 帯には、「ことばは「文字どおり」には伝わらない」 背表紙からは、「伝えたいのに伝わらない」 裏返すと、「伝えたいことを伝えるために」 ここまで何度も伝えられれば、さすがにメッセージが伝わってくる、「あなたも(伝えたいことが伝えられないなら)、買ってください」と。どうでもいいが、既に「伝」の漢字を15回も使っている、この後が不安だ。 著者は、ことばとコミュニケーションに関して社会心理学的な立場から研究をしている。就活の面接対策でよく話題になるメラビアンの法則では言語の力は7%に過ぎない(口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%)と言われているが、そのことについても、正しく
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