日本人の成人の80%以上がかかっているといわれる歯周病。その原因菌が作り出す「酪酸」がアルツハイマー病を引き起こす一因になる可能性があるという。日本大学歯学部の落合邦康特任教授(口腔<こうくう>細菌学)らの研究チームが5月12日、福岡市で開かれた日本歯周病学会でラットによる実験結果を発表した。歯周病とアルツハイマー病の関連性については、これまでも指摘されていたが、動物の体の中で歯周病とアルツハイマー病の関連を示唆する現象が起きているのを確かめたのは初めてという。 ◇脳の機能が徐々に失われていくアルツハイマー病 アルツハイマー病は認知症の一種で、脳の神経細胞が徐々に死に、脳の機能が失われていく病気だ。国内に約500万人いる認知症患者の6~7割を占めると考えられている。細胞死は記憶や学習に関わる海馬の周辺から始まり、最終的には脳全体に広がる。発症すると、まず、少し前の出来事が思い出せなくな