忍耐求める社会、変革を 日本を離れ、英国を取材拠点にして1年たつ。欧米やアジアの放送局に企画を持ち込み、南米やアフリカを渡り歩きドキュメンタリーを制作する。日本語を使う機会が少ないから、というわけではないだろう。民事訴訟のために一時帰国し、インタビューに応じる最中、何度も息を整えては次の言葉を探した。 「つい考えちゃうんです。どういう言葉を使えば、自分の考えをきちんと伝えられるのかって。英語は私のような外国人にとっても、ノーの意味はノーです。でも日本語は違う。その場の状況次第で『いやよ、いやよも好きのうち』でイエスだと解釈される。逆に本当は必要なのに、遠慮が求められて『大丈夫です』と表面上断らなくてはいけない場面もある」