2011年10月17日01:21 カテゴリ本 日本政治の「原型」 大学の講義録なんて、普通は本としては読めたものではないが、丸山眞男の講義は単行本ぐらいの密度がある。同じ「日本政治思想史」の講義でありながら、毎年テーマを変え、詳細なノートを用意している。本書は1967年の講義だが、半分近くが「歴史的前提」と題した日本文化論にあてられている。ここで「原型」として論じられているのが、のちに「歴史意識の『古層』」で彼が論じたテーマである。呪術の世界にはそれぞれのsituation(場)にそれぞれの精霊が内在している。かまどの神とか、へっついの神とか、厠の神とかいう表象をみよ。だから、特定の場に特定の祭儀が対応することとなり、祭儀自体が多様性をもつ。いいかえれば、「聖なるもの」が多様であって、場に応じて使い分けられることになる。(pp.60-61 強調は原文)彼はこのような日本人の状況に依存した行