バックパック1つで身軽に異国を長期間旅する若者は、おそらく今では少数派だ。格安航空会社(LCC)の利用やインターネットの進化、SNSの普及などにより、多様化した若者の海外旅行の現在を解説する。 かつての若者の海外旅行 2003年以降の「ビジット・ジャパン・キャンペーン」、08年の観光庁の設置など、日本では訪日外国人旅行(インバウンド)が大きな注目を集めている。16年には初めて訪日外国人旅行者数が2000万人を超え、18年は3000万人到達への期待がある。その中で、日本人の海外旅行(アウトバウンド)への注目はあまり高くはなく、2000年代後半には「若者の海外旅行離れ」が話題となることもあった。本稿では、若者にフォーカスして海外旅行の最新の状況を解説したい。 まず1980年代以降に見られた若者の海外旅行の傾向を見ると、以下の4つの特徴が挙げられる。 第1は「バックパッカー」の旅。沢木耕太郎が1